RICOH CaplioGX+赤外線透過フィルター(SC-72・IR-76)で撮り、画像処理ソフトでグレイスケール化+レベル補正。
SC-XX・IR-XX(富士フィルター製)はトリアセテート製のぺらぺらとしたシート状(75mm×75mm)のフィルターで、大型カメラ店などで税込1000円ていどで購入できる。数字部分はおおざっぱに言って50%透過波長(nm)の1/10を示す(IR-76は760nmを50%透過)。数字が小さいほど可視光が多く透過する。SC-72・IR-76・IR-86・IR-94を比べると、72と76は、明るいところではAF(マクロモード)で容易に合焦する。86と94は、快晴の正午ごろでもAFに失敗し、94ではMFも困難だった。
詳細な透過特性は部分的にしか分からないが、フィルター: 表示についてに一部の製品の透過曲線があり、また、他社品対応表がある。Film and Color Filter Spectral Curvesなどの記述からまとめると、次のように推測される。
富士フィルター | 透過1%未満 | 50%透過 | 87%以上透過 | Kodak (Wratten) |
SC-72 | 670 (nm) | 720 | 780 | 89B |
IR-76 | 710 (nm) | 750 | 800 | 88A |
IR-84 | 780 | 840 | 910〜920? | |
IR-94 | 820 | 930 | 1060 | 87B |
緑葉の太陽光反射量は700nmから750nmにかけて急上昇し、800nm以上では緩やかに低下する。1100nmでは半分以下になってしまう。このことを考慮すると、可視光の遮断にこだわるならIR-78・IR-80あたりの方がよいのだろうが、植生を白く映すにはIR-76が(多少可視光も通すとはいえ)最適と思われる。IR-86・IR-94になると緑葉の赤外反射の多くがカットされてしまうようだ。SC-72は赤色光をかなり通すが、白黒化した場合のIR-76との画像の差は小さく、露光時間はIR-76の1/3になるため、GXの場合、好条件時にはISO200〜400に上げて手持ち撮影も可能となる。
海外の赤外写真を扱ったページでは、ガラスフィルターのHeliopan 715nm・HOYA R72(またはRM72)、シートフィルターのWratten 89Bが定番として使われている。これらはSC-72と近い特性を持つ。
フィルターを4つ切りにしてステップアップリング(37mm→52mm)とステップダウンリング(52mm→37mm)ではさんでから装着。ステップダウンリングの代わりに52mm径の透明なガラスフィルターを使っても良い(下の写真――スカイライトフィルターを使っているが、UVフィルターでもプロテクトフィルターでも変わらない)。ただし、フィルター片が遊ばないように折り畳んだ紙片か何かをスペーサーにして止める必要がある。
赤外線の感度・発色はデジタルカメラの機種によって異なる。レンズは赤外線を良く透過し、CCD・CMOSは高い赤外線感度を持っているので、カメラの感度は、主に、CCD・CMOSの前にある赤外線カットフィルターに左右されると言う。本格的に赤外撮影をするために赤外線カットフィルターを同サイズの透明なガラスに置換する改造を施すこともあるようだ。
Infrared Sensitivity Comparisonsで新旧多数の機種の赤外線感度を比べている。メーカーやシリーズによる違いは、機種による違いに埋もれてしまう。つまり、ブランドは当てにならない。また、新しい機種ほど感度が低い傾向がある。
紫外線写真と違い、赤外線感度の高い機種では、AF(マクロモード)・AEが有効だ。逆に言えば、感度の低さは長時間露光とMFで補うことができる。
また、機種により、また条件により、鏡筒内の内部反射のため(?)、画像の中心部に明部が出ることがある。
撮影に有利な条件は、次の通りになるが、上に書いたとおり、他の条件でカバーできることがあるので、どれが必須、というわけではない。
紫外線写真と比べると、赤外線写真は赤・緑・青の三色をバランス良く含んでいる。だから、ほとんどの場合、白黒化・自動レベル補正で良好な画像が得られる。