タンポポ
大学(福岡県宗像市)の周辺では、外来種のセイヨウタンポポ・アカミタンポポと、白花在来種のシロバナタンポポがふつうに見られる。このページでは、この3種と黄花在来種のカンサイタンポポ・カントウタンポポ・シナノタンポポ・オキタンポポを比較する。
タンポポは、舌状花だけが集まった円盤状の頭状花序(頭花)をつける(キク科の花の構成については、ツワブキとキク科の頭花を参照)。総苞は、内側の長い総苞片(総苞内片)と外側のやや短い総苞片(総苞外片)でできていて、開花時には、総苞外片の広がり具合が外来種と在来種を見分ける目印となる。主な違いは、次の通り。
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舌状花冠 |
総苞外片(開花時) |
果実 |
セイヨウタンポポ |
外来種 |
鮮黄色 |
斜め下へ反り返る |
わら色~焦茶色 |
アカミタンポポ |
えんじ色 |
カンサイタンポポ シナノタンポポ カントウタンポポ オキタンポポ キバナシロタンポポ? |
在来種 |
上~斜め上向き、 内片に密着 |
茶色 (オキタンポポは未見) |
シロバナタンポポ ケイリンシロタンポポ キビシロタンポポ |
白色 (中心部は クリーム色) |
斜め上を向き、 内片から少し離れる |
西日本のタンポポでは、市民や研究者、研究機関が参加する大規模な分布調査が行なわれている(タンポポ調査・西日本2015)。西日本のタンポポの分布は大変複雑なことが明らかになっており、もともとの分布が違う複数の在来種、外来種の広がり、在来種と外来種の交雑、在来種の人為的な移動など、さまざまな要因が推定されている。
セイヨウタンポポ
花
小花数が多く、こんもりと盛り上がることが多い。
冷涼な地の方が花盛りが揃って見事
頭状花序の拡大。
開花時の総苞。外片が反り返り、内片全体が露出する。内片は筒のように堅く組み合わさって子房の集まりを包み込んでいる。
総苞外片の反り返りが中途はんぱな個体が混じっていることがある。このような個体は、在来種との交雑によるものである場合もあるとされる。
花粉は大小さまざまで、稔性(受精能力)を持たない(白い棒は10μm)
果実
果実が熟すと、内片が広がり始める
果実が毬状に集まる
冷涼地では果実の成熟も同調性が高い
果実の横断面
湿った果実
朝露で湿った果序
冠毛が閉じる
ロゼット他
福岡県の低地では、冬の間も多くの個体は花茎かつぼみをつけている。
アカミタンポポ
小学校の運動場で群生。セイヨウタンポポと比べると、小花数が少ない傾向があるが、いつも当てになるわけではない。
果実はえんじ色。総苞内片は下を向く。
花の一日の変化(動画・6:30~19:30の13時間を10秒に圧縮)。総苞は早朝にすばやく開き、夕方に閉じる。
シロバナタンポポ
総苞片の先端は、鳥の頭のようなかたちをしている。
結実時の総苞内片は開くか、または反り返る。しかし、セイヨウタンポポのように完全に反り返ることは少ないので、果実の集まりは半球形になる。
ほとんどの花が結実する
キバナシロタンポポ?
ほとんどの花が結実する
花粉粒の大きさは不揃い
ケイリンシロタンポポ(ツクシシロタンポポ)
キビシロタンポポ
カンサイタンポポ
シナノタンポポ
総苞
葉
果実
果実の色や形はセイヨウタンポポやシロバナタンポポと区別が付かないが、ひしゃげた白い「しいな」(不稔の果実)がたくさん混じっている。
ほとんどがしいな。
冠毛が伸びているが、果実はほとんど成長していない。花茎(ふつうは果実が熟するとともに長く伸びる)も短いまま。セイヨウタンポポ・アカミタンポポ・シロバナタンポポは受粉なしで果実をつけるので、ほとんどの花が果実になるが、他家受粉が必要なシナノタンポポは、花が果実に成熟する確率が非常に低い。
奥の果樹園内ではシナノタンポポ、手前の空き地(駐車スペースとして使われている)ではセイヨウタンポポが優占している。
夕方になるとシナノタンポポが先に頭花を閉じ始める
カントウタンポポ
オキタンポポ
不明のタンポポ(直方市)
モウコタンポポ
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