ホシダ(ヒメシダ科)
草形・葉
ホシダ

長い葉柄を持つ羽状複葉。羽状複葉を持つシダでは、小葉を「羽片」と呼び、羽片は葉の先に行くにつれて小さくなる。ホシダでは、先端に独立した羽片(頂羽片)がある。

ホシダ

葉柄は地表からほぼ垂直に立ち上がり、上の方はやや斜めになる。葉身はさらに反り返って、斜め~水平に地表を覆う。裏に胞子をつける葉(胞子葉)とつけない葉とがあり、胞子葉はより直立に近い傾向があって、胞子をつけない葉から抜きんでる。

ホシダ
左が胞子をつけない葉、右が胞子葉。胞子葉の方が全体に細長い。個々の羽片も細めで、羽片どうしの間隔も広め。

ホシダ胞子葉の葉身上部。胞子をつけない葉と比べて頂羽片は少し短め。
ホシダ新葉の展開

ホシダ葉上面(向軸面)表面のスンプ像

ホシダ ホシダ葉下面(背軸面)表面のスンプ像・透過像

ホシダ葉の横断面
茎・葉・根
ホシダ

茎は地下茎で、地面のすぐ下を枝分かれしながら伸びる。

ホシダ ホシダ
1―茎頂、2―未展開の葉、3―展開した葉の葉柄、4―根

ホシダ ホシダ茎の横断面。2~数個の不定形の維管束断面がリング状に並ぶ。

ホシダ ホシダ
ホシダ ホシダ
維管束断面では、木部を篩部が取り囲んでいる。篩部の外側に、タンニン細胞(茶色)の小さな集まりが散在する。

ホシダ ホシダ
皮層の細胞はデンプン粒を含む。
胞子嚢群と胞子嚢

胞子葉の裏側(下面・背軸面)には、白色半透明の膜(包膜)に覆われた胞子嚢(白い粒)の集まり=胞子嚢群(ソーラス)がびっしりとつく。包膜はフキの葉に似た形をしていて、葉柄のつけねに当たるところ(胞子嚢床)に胞子嚢がついている。

ホシダ胞子嚢は白く、包膜は胞子嚢群をぴっちりと覆っている
ホシダ ホシダ
若い胞子嚢

ホシダ包膜の縁が浮いて、胞子嚢が見える。胞子嚢の縁が茶色に色づいている
ホシダ
成熟間近の胞子嚢。へりの約2/3は環帯で縁取られている。環帯の細胞は厚い側壁・内壁と薄い外壁を持つ。

ホシダ成熟した胞子嚢(黒)が混じり始める。
ホシダ
成熟した胞子嚢。黒い胞子が詰まっている。環帯が途切れているところから裂け目が入る。

ホシダほとんどの胞子嚢が成熟している
ホシダ包膜が茶色になって縮み、胞子嚢群が露出している。胞子嚢から吐き出された胞子(黒い小粒)が葉に付着している。
ホシダ ホシダ
胞子を射出する胞子嚢(連続写真)。環帯が逆方向に反り返り、胞子嚢は大きく裂けて胞子を含む部分が反り返る。一瞬で環帯が元に戻り、胞子が投げつけられるように飛び出す。


動画

ホシダ胞子を出し尽くした胞子嚢は包膜に近い茶色になる
ホシダ胞子。黒線は50μm。

ホシダ ホシダ ホシダ
胞子嚢群・胞子嚢・胞子のSEM(走査型電子顕微鏡)像。白線は、それぞれ、1mm・100μm・50μm。
寒天培地上の胞子発芽・前葉体
ホシダ発芽した胞子から形成された細胞塊

以下の写真は大学院生・小澤くんが作成した試料を撮影

ホシダ ホシダ ホシダ ホシダ ホシダ ホシダ ホシダ ホシダ ホシダ
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