日向に出した葉が折り畳まれるまで(左)と日陰に入れた葉の折り畳みが取れるまで(右)。ともに200倍速(40分→12秒)。ガラス越しの日光なので、直射日光よりやや弱めの光で、自然条件ではもう少し早く反応する。
葉に過剰な光エネルギーが吸収されると、活性酸素の発生などさまざまな障害が起こる。葉の折り畳みは、受光面積を小さくして吸光量を減らすはたらきを持つと考えられる。葉の折り畳みは一部の植物にしか見られないが、光条件に応じて葉の角度が変わる現象(葉の調位運動)は多数の植物で知られており、強光下で受光面積を小さくする。作物、特にマメ科作物でよく研究されている。
強光による障害への対策としては、葉の折り畳みや調位運動のような器官レベルのしくみよりも、細胞や代謝のレベルのしくみの方が、より普遍的だ。
細胞レベルでは、強光下で葉緑体が光の向きに並行に並ぶ逃避反応[avoidance response]、逆に弱光下で葉緑体が光の向きに垂直に並ぶ集合反応[accumulation response]が起こる。このような光条件に対応した葉緑体の動きを総称して「葉緑体光定位運動」[chloroplast photorelocation movement]と呼ぶ。逃避反応は、葉の折り畳みと同じく受光量を減らす。
代謝レベルでは、クロロフィルが吸収した光エネルギーをキサントフィルサイクルを通じて熱として発散するしくみや、カロテンなどによる活性酸素の除去など、障害発生の各段階に対して抑制のしくみがある。