強光下で折り畳まれる葉
ツユクサ(ツユクサ科)
ツユクサ ツユクサ
日陰の葉と日向の葉(夏の晴天時)。強光下では葉が谷折りになる。

ツユクサ ツユクサ
日向に出した葉が折り畳まれるまで(左)と日陰に入れた葉の折り畳みが取れるまで(右)。ともに200倍速(40分→12秒)。ガラス越しの日光なので、直射日光よりやや弱めの光で、自然条件ではもう少し早く反応する。

マルバツユクサ(ツユクサ科)
マルバツユクサ マルバツユクサ
マルバツユクサ日陰の葉と日向の葉(夏の晴天時)
ヤブミョウガ(ツユクサ科)
ヤブミョウガ
ツユクサと同じく谷折り
ミョウガ(ショウガ科)
ミョウガ
ミョウガ
ミョウガ
山折り
ハナシュクシャ(ショウガ科)
ハナシュクシャ
ハナシュクシャ炎天下では葉が山折り
オオハンゲ(サトイモ科)
オオハンゲ オオハンゲ
直射日光下では小葉が谷折りになる
チヂミザサ(イネ科)
チヂミザサ チヂミザサ
日向の葉と日陰の葉
ナンキンマメ(マメ科)
ナンキンマメ ナンキンマメ
カタバミ(カタバミ科)
カタバミ カタバミ
日陰の葉と日向の葉(夏の晴天時)

葉に過剰な光エネルギーが吸収されると、活性酸素の発生などさまざまな障害が起こる。葉の折り畳みは、受光面積を小さくして吸光量を減らすはたらきを持つと考えられる。葉の折り畳みは一部の植物にしか見られないが、光条件に応じて葉の角度が変わる現象(葉の調位運動)は多数の植物で知られており、強光下で受光面積を小さくする。作物、特にマメ科作物でよく研究されている。

細胞レベル・代謝レベルの強光対策
葉緑体光定位運動

強光による障害への対策としては、葉の折り畳みや調位運動のような器官レベルのしくみよりも、細胞や代謝のレベルのしくみの方が、より普遍的だ。

強光下での逃避反応(S)・弱光下での集合反応(W)の模式図

細胞レベルでは、強光下で葉緑体が光の向きに並行に並ぶ逃避反応[avoidance response]、逆に弱光下で葉緑体が光の向きに垂直に並ぶ集合反応[accumulation response]が起こる。このような光条件に対応した葉緑体の動きを総称して「葉緑体光定位運動」[chloroplast photorelocation movement]と呼ぶ。逃避反応は、葉の折り畳みと同じく受光量を減らす。

代謝レベルでは、クロロフィルが吸収した光エネルギーをキサントフィルサイクルを通じて熱として発散するしくみや、カロテンなどによる活性酸素の除去など、障害発生の各段階に対して抑制のしくみがある。


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