FITS 規約に反する例

次のような間違いはよくあるものだが、FITS 規約には抵触するので、注意すること。

●ヘッダキーワードの文字種違反
ヘッダキーワードは大文字でなければならない。またASCII文字、数字、'_''-'以外を含んではならない(5.3.1参照)。
   ×  simple  =                    T   ←キーワードが小文字
   ×  IRAF-B/P=                   16   ←キーワードに'/'が含まれる

EQUINOXの値違反
EQUINOXの値は浮動小数点値でなければならない(5.3.2 参照。また EPOCHは使わないこと)。
   ×  EQUINOX =               2000     ←整数値になっている

●キーワードの順序違反
例えば EXTENDNAXISより前ではならず NAXISnの直後に置く。(5.3.2 参照)
        SIMPLE  =                    T
        BITPIX  =                   32
    ×  EXTEND  =                    T
        NAXIS   =                    3

●ヘッダの文字値の違反
ヘッダの文字値を囲むのは single quote(') であり、double quote(") ではない。固定フォーマットでは'の位置にも注意(5.3.3 参照)。
  ×  XTENSION  = "TABLE   "   ←引用符が"になっている
  ×  XTENSION  = 'IMAGE'      ←XTENSIONキーワードでは後の'は20桁目以降

●データ部の値の制限違反
データ部では unsigned integer は使えない。例えば、
        BITPIX  =                   16
のような場合は使える値は、-32768 ~ 32767 である(5.4.1 参照)。

16-bit 符号なし整数を使いたい場合は BZERO = 32768 などとする。

●ASCII Table Extension の TFORMn のフォーマット記法違反
 

ASCII Table Extension の TFORMnでは、FORTRAN-77 の記法で書かなければならず、C フォーマットではだめである(5.7.1 参照)。

    ×  TFORM1  = '%6d     '

●浮動小数の指数形式の記法違反
浮動小数では、整数部または小数部のどちらかは必要なので指数部だけでは違反になる。 また小数点は必須ではないので、整数に指数部を続けるのは可(5.3.3 参照)。
    ×  IRAF-MAX = E30
    ○  IRAF-MAX = 12
    ○  IRAF-MAX = 1E30

などなど。他にも似たような例はあると思われるので注意されたい。


(なお、2000年に制定された NOST Standard 100-2.0 以降ではヘッダの値の記述方式にフリーフォーマットが認められたことにより、従来よりも自由度が大きくなった (文字値が 8 文字を超えても可とか、数値の桁位置がフリーになった、とか)。



Osamu Kanamitsu
2019-02-15