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: キーワードのまとめ : FITS 規約の拡張 : Registry of FITS conventions   目次

FITS の拡張の手順

現在 FITS の規格は IAU の FWG (FITS Working Group) が決定権を持っている (1988 年の IAU 総会による)。 IAU FWG は IAU の組織の中では Division XII (Union-Wide Activities) の下の Commission 5 (Documentation & Astronomical Data) 配下とされている。 2009年の GA(総会)で IAU FWG の議長 W. Pence (NASA/GSFC) 、副議長 L. Chiappetti (IASF, Italy) という体制が承認された(2009 - 2012)。 WG には各地域から代表委員が参加しており、日本からは金光理 (福岡教育大)が委員になっている。(計 22名。http://fits.gsfc.nasa.gov/iaufwg/iaufwg.html参照)

データ構造の開発者が既存の FITS フォーマットにしっくりこない部分がある場合、新たな拡張を開発、提案することができる (もちろん新しい拡張は既存のフォーマットに影響を与えるものであってはならない)。 新しい拡張が正式に FITS の拡張として認められるまでの手順は以下の通りである(http://fits.gsfc.nasa.gov/iaufwg/iaufwg_rules.html)。 (この手順を決めているのは IAU FWG 内の議長、副議長、前議長、4地域委員会委員長の 7名からなる EC (Executive Committee) である)。

  1. 【事前準備】新しい規約について天文コミュニティで議論 (主に sci.astro.fits など)し、収束したら次段階の準備ができたと判断する
  2. 【公開コメント】sci.astro.fits ニュースグループで公開コメントを受け付ける。議論によって提案者は提案の修正をする。通常 4週間の期間を取るが EC の判断で伸ばすこともできる。
  3. 【EC によるレヴュー】公開コメント期間の後、EC は地域委員会に対し地域委員会が投票の準備ができているかどうかの確認をする。これは準備のできていないメンバーや納得していないメンバーによる反対投票や棄権を避けるためである。
  4. 【地域委員会の投票】EC が地域委員会での投票を決めて要請したら 4地域委員会(European、Japanese、American Astronomical Society の WGAS (Working Group on Astronomical Software)、Australia/New Zealand)は各々投票に入る。これは通常は 3週間である。投票は「賛成」,「反対」,「保留」で「反対」の場合は理由の明示が必要である。委員会メンバーの 2/3 以上の投票が必要であり、投票数の 2/3 以上の「賛成」で提案が承認される。
  5. 【IAU FITS WG での最終投票】地域委員会で承認されたら、IAU FWG の投票準備としてメンバーに「反対」の投票の可能性を問う。1人でも「反対」がいれば 6ヶ月の延期をする。そうでなければ通常 3週間の電子メールでの投票に入る。少なくとも 3/4 以上の投票が必要であり、投票数の 3/4 以上の「賛成」で承認され、正式な FITS 規約となる。



平成22年2月17日