H30学習指導要領 生物関係部分
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文部科学省の学習指導要領のページ(URLは不定期に変更される)から、H30学習指導要領(新指導要領)生物関連部分を抜粋・編集して表形式にまとめたものです。告示後の学習指導要領は、学習指導要領データベース(国立教育政策研究所)で参照することができます。

小学校理科
1.目標
全体 3年 4年 5年 6年
自然の事物・現象 身の回りの生物
太陽と地面の様子
人の体のつくりと運動
動物の活動や植物の成長と環境との関わり
雨水の行方と地面の様子
気象現象
月や星
生命の連続性
流れる水の働き
気象現象の規則性
生物の体のつくりと働き
生物と環境との関わり
土地のつくりと変化
月の形の見え方と太陽との位置関係
理解を図り,観察,実験などに関する基本的な技能を身に付け
観察,実験などを行い 追究する中で
問題解決の力 主に差異点や共通点を基に,問題を見いだす力 主に既習の内容や生活経験を基に,根拠のある予想や仮説を発想する力 主に予想や仮説を基に,解決の方法を発想する力 主にそれらの働きや関わり,変化及び関係について,より妥当な考えをつくりだす力
自然を愛する心情 生物を愛護する態度 生命を尊重する態度
主体的に問題を解決する態度を養う
2.内容 3.内容の取り扱い
3年

身の回りの生物
身の回りの生物について,探したり育てたりする中で,それらの様子や周辺の環境,成長の過程や体のつくりに着目して,それらを比較しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

生物は,色,形,大きさなど,姿に違いがある
周辺の環境と関わって生きている
昆虫の育ち方には一定の順序がある
成虫の体は頭,胸及び腹からできている
飼育、栽培を通して行う
植物の育ち方には一定の順序がある
その体は根,茎及び葉からできている
飼育、栽培を通して行う。夏生一年生の双子葉植物を扱う
4年

人の体のつくりと運動
人や他の動物について,骨や筋肉のつくりと働きに着目して,それらを関係付けて調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

人の体には骨と筋肉がある
人が体を動かすことができるのは、骨、筋肉の働きによる 関節の働きを扱う

季節と生物
身近な動物や植物について,探したり育てたりする中で,動物の活動や植物の成長と季節の変化に着目して,それらを関係付けて調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する

動物の活動は、暖かい季節、寒い季節などによって違いがある 1年を通して動物の活動や植物の成長をそれぞれ2種類以上観察する
植物の活動は、暖かい季節、寒い季節などによって違いがある
5年

植物の発芽,成長,結実
植物の育ち方について,発芽,成長及び結実の様子に着目して,それらに関わる条件を制御しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する

植物は、種子の中の養分を基にして発芽する 「種子の中の養分」については、でんぷんを扱う
植物の発芽には、水、空気及び温度が関係している
植物の成長には、日光や肥料などが関係している
花にはおしべやめしべなどがあり、
花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり、
実の中に種子ができる
おしべ、めしべ、がく及び花びらを扱う
受粉については、風や昆虫などが関係していることにも触れる

動物の誕生
動物の発生や成長について,魚を育てたり人の発生についての資料を活用したりする中で,卵や胎児の様子に着目して,時間の経過と関係付けながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する

魚には雌雄があり、生まれた卵は日がたつにつれて中の様子が変化してかえる
人は、母体内で成長して生まれる 受精に至る過程は取り扱わない
6年

人の体のつくりと働き
人や他の動物について,体のつくりと呼吸,消化,排出及び循環の働きに着目して,生命を維持する働きを多面的に調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する

体内に酸素が取り入れられ、体外に二酸化炭素などが出されている
食べ物は、口、胃、腸などを通る間に消化、吸収され、吸収されなかった物は排出される
血液は、心臓の働きで体内を巡り、養分、酸素及び二酸化炭素などを運んでいる 心臓の拍動と脈拍が関係することにも触れる
体内には、生命活動を維持するための様々な臓器がある 主な臓器として、肺、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓、心臓を扱う

植物の養分と水の通り道
植物について,その体のつくり,体内の水などの行方及び葉で養分をつくる働きに着目して,生命を維持する働きを多面的に調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する

植物の葉に日光が当たるとでんぷんができる
根,茎及び葉には,水の通り道があり,根から吸い上げられた水は主に葉から蒸散により排出される

生物と環境
生物と環境について,動物や植物の生活を観察したり資料を活用したりする中で,生物と環境との関わりに着目して,それらを多面的に調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する

生物は、水及び空気を通して周囲の環境とかかわって生きている 水が循環していることにも触れる
生物の間には、食う食われるという関係がある 水中の小さな生物を観察し,それらが魚などの食べ物になっていることに触れる
人は,環境と関わり,工夫して生活している
配慮事項

中学校理科[第2分野]
1.目標
  1. 生命や地球に関する事物・現象についての観察,実験などを行い,生物の体のつくりと働き,生命の連続性,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする
  2. 生命や地球に関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,多様性に気付くとともに規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う
  3. 生命や地球に関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究する態度と,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする
2.内容 3.内容の取り扱い
(1) いろいろな生物とその共通点

身近な生物についての観察,実験などを通して,いろいろな生物の共通点や相違点を見いだすとともに,生物を分類するための観点や基準を見いだして表現する

生物の観察
校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付ける
身近な生物の観察を扱うが,ルーペや双眼実体顕微鏡などを用いて,外見から観察できる体のつくりを中心に扱う
生物の特徴と分類の仕方
いろいろな生物を比較して見いだした共通点や相違点を基にして分類できることを理解するとともに,分類の仕方の基礎を身に付ける
植物の体の共通点と相違点
動物の体の共通点と相違点
身近な植物・動物の外部形態の観察を行い,その観察記録などに基づいて,共通点や相違点があることを見いだして,植物・動物の体の基本的なつくりを理解する。また,その共通点や相違点に基づいて植物・動物が分類できることを見いだして理解する
花のつくりを中心に扱い,種子植物が被子植物と裸子植物に分類できることを扱う(胚珠が種子になることにも触れる)
被子植物が単子葉類と双子葉類に分類できることについては,葉のつくりを中心に扱う
種子をつくらない植物が胞子をつくることにも触れる
脊椎動物と無脊椎動物の違いを中心に扱う
脊椎動物については,ヒトや魚を例に,体のつくりの共通点としての背骨の存在について扱い,体の表面の様子や呼吸の仕方などの特徴を基準として分類できることを扱う
無脊椎動物については,節足動物や軟体動物の観察を行い,それらの動物と脊椎動物の体 のつくりの特徴を比較し,その共通点と相違点を扱う
(3) 生物の体のつくりと働き

身近な植物や動物の体のつくりと働きについて,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,生物の体のつくりと働きについての規則性や関係性を見いだして表現する

生物と細胞
生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付ける
植物と動物の細胞のつくりの共通点と相違点について触れる
細胞の呼吸及び単細胞生物の存在にも触れる
植物の体のつくりと働き―葉・茎・根のつくりと働き
植物の葉,茎,根のつくりについての観察を行い,それらのつくりと,光合成,呼吸,蒸散の働きに関する実験の結果とを関連付けて理解する
光合成における葉緑体の働きにも触れる
葉,茎,根の働きを相互に関連付けて扱う
動物の体のつくりと働き―生命を維持する働き
消化や呼吸についての観察,実験などを行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察,実験の結果などと関連付けて理解する。また,不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解する
各器官の働きを中心に扱う
「消化」については,代表的な消化酵素の働きを扱う
摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になることにも触れる
血液の循環に関連して,血液成分の働き,腎臓や肝臓の働きにも触 れる
動物の体のつくりと働き―刺激と反応
動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けて理解する
各器官の働きを中心に扱う
(5) 生命の連続性

生命の連続性について,観察,実験などを行い,その結果や資料を分析して解釈し,生物の成長と殖え方,遺伝現象,生物の種類の多様性と進化についての特徴や規則性を見いだして表現,探究の過程を振り返る

生物の成長と殖え方―細胞分裂と生物の成長
体細胞分裂の観察を行い,その順序性を見いだして理解するとともに,細胞の分裂と生物の成長とを関連付けて理解する
染色体が複製されることにも触れる
生物の成長と殖え方―生物の殖え方
生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだして理解するとともに,生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだして理解する
有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱う
「無性生殖」については,単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れる
遺伝の規則性と遺伝子
交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだして理解する
遺伝の規則性として分離の法則を扱う
遺伝子の本体がDNAであることにも触れる
(7) 自然と人間

身近な自然環境や地域の自然災害などを調べる観察,実験などを行い,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について,科学的に考察して判断する

生物の種類の多様性と進化
現存の生物及び化石の比較などを通して,現存の多様な生物は過去の生物が長い時間の経過の中で変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けて理解する
進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について扱う(生物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れる)
遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることにも触れる
生物と環境―自然界のつり合い
微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けて理解するとともに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだして理解する
生態系における生産者と消費者との関係を扱う
分解者の働きについても扱う(土壌動物にも触れる)
生物と環境―自然環境の調査と環境保全
身近な自然環境について調べ,様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解するとともに,自然環境を保全することの重要性を認識する
生物や大気,水などの自然環境を直接調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行う
気候変動や外来生物にも触れる
自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識する
これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第1分野の「エネルギーとエネルギー資源」と関連付けて総合的に扱う
配慮事項
  1. 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにする。その際,理科の学習過程の特質を踏まえ,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動が充実するようにする
  2. 各学年においては,年間を通じて,各分野におよそ同程度の授業時数を配当する。その際,各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を養うことができるようにする
  3. 学校や生徒の実態に応じ,十分な観察や実験の時間,課題解決のために探究する時間などを設けるようにする。その際,問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などが充実するようにする
  4. 日常生活や他教科等との関連を図る
  5. 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行う
  6. 道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をする
  7. 観察,実験,野外観察を重視するとともに,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象についての基本的な概念の形成及び科学的に探究する力と態度の育成が段階的に無理なく行えるようにする
  8. 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うようにする
  9. 学習活動を通して,言語活動が充実するようにする
  10. 各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するようにする
  11. 指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫する
  12. 原理や法則の理解を深めるためのものづくりを,各内容の特質に応じて適宜行うようにする
  13. 継続的な観察や季節を変えての定点観測を,各内容の特質に応じて適宜行うようにする
  14. 観察,実験,野外観察などの体験的な学習活動の充実に配慮する
  15. 環境整備に十分配慮する
  16. 博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るようにする
  17. 科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れる
  18. 理科で学習することが様々な職業などと関係していることに触れる
  19. 観察,実験,野外観察の指導に当たっては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮する

高等学校生物基礎
1.目標
  1. 日常生活や社会との関連を図りながら,生物や生物現象について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付ける
  2. 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う
  3. 生物や生物現象に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度と,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養う
2.内容 3.内容の取り扱い
(1) 生物の特徴
生物の特徴 生物の共通性と多様性 様々な生物の比較に基づいて,生物は多様でありながら共通性をもっていることを見いだして理解する
生物の共通性と起源の共有を関連付けて理解する
この科目の導入として位置付ける
生物は進化の過程で共通性を保ちながら多様化してきたことを扱う(原核生物と真核生物に触れる)
生物とエネルギー 生物とエネルギーに関する資料に基づいて,生命活動にエネルギーが必要であることを理解する
光合成や呼吸などの代謝とATPを関連付けて理解する
呼吸と光合成の概要を扱う(ミトコンドリアと葉緑体,酵素の触媒作用や基質特異性,ATPの役割にも触れる)
遺伝子とその働き 遺伝情報とDNA DNAの構造に関する資料に基づいて,遺伝情報を担う物質としてのDNAの特徴を見いだして理解するとともに,塩基の相補性とDNAの複製を関連付けて理解する。 DNAの複製の概要を扱う(細胞周期とDNAの二重らせん構造についても触れる)
遺伝情報とタンパク質の合成 遺伝情報の発現に関する資料に基づいて,DNAの塩基配列とタンパク質のアミノ酸配列との関係を見いだして理解する 転写と翻訳の概要を扱う(タンパク質の生命現象における重要性にも触れる)
全ての遺伝子が常に発現しているわけではないことにも触れる
遺伝子とゲノムとの関係にも触れる
(2) ヒトの体の調節
神経系と内分泌系による調節 情報の伝達 体の調節に関する観察,実験などを行い,体内での情報の伝達が体の調節に関係していることを見いだして理解する 体内環境の変化に応じた体の調節に神経系と内分泌系が関わっていることを取り上げる
中枢神経系に関連して脳死についても触れる
体内環境の維持の仕組み 体内環境の維持の仕組みに関する資料に基づいて,体内環境の維持とホルモンの働きとの関係を見いだして理解する
体内環境の維持を自律神経と関連付けて理解する
血糖濃度の調節機構を取り上げる(身近な疾患の例にも触れる)
血液凝固にも触れる
免疫 免疫の働き 免疫に関する資料に基づいて,異物を排除する防御機構が備わっていることを見いだして理解する 身近な疾患の例にも触れる
(3) 生物の多様性と生態系
植生と遷移 植生の遷移に関する資料に基づいて,遷移の要因を見いだして理解する
植生の遷移をバイオームと関連付けて理解する
植生の遷移には光や土壌などが関係することを扱う
植物の環境形成作用にも触れる
環境条件によっては,遷移の結果として,森林の他に草原や荒原になることにも触れる
生態系とその保全 生態系と生物の多様性 生態系と生物の多様性に関する観察,実験などを行い,生態系における生物の種多様性を見いだして理解する
生物の種多様性と生物間の関係性とを関連付けて理解する
生物の絶滅にも触れる
「生物間の関係性」については,捕食と被食を扱う(それに起因する間接的な影響にも触れる)
生態系のバランスと保全 生態系のバランスに関する資料に基づいて,生態系のバランスと人為的攪乱を関連付けて理解する
生態系の保全の重要性を認識する
人間の活動によって生態系が攪乱され,生物の多様性が損なわれることがあることを扱う
高等学校生物
1.目標
  1. 生物学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的に探究するた めに必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付ける
  2. 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う
  3. 生物や生物現象に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度と, 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養う
2.内容 3.内容の取り扱い
(1) 生物の進化
生命の起源と細胞の進化 生命の起源と細胞の進化に関する資料に基づいて,生命の起源に関する考えを理解するとともに,細胞の進化を地球環境の変化と関連付けて理解する この科目の導入として位置付け,以後の学習においても,進化の視点を意識させるよう展開する 化学進化及び細胞内共生を扱う
遺伝子の変化と進化の仕組み 遺伝子の変化 遺伝子の変化に関する資料に基づいて,突然変異と生物の形質の変化との関係を見いだして理解する
遺伝子の組合せの変化 交配実験の結果などの資料に基づいて,遺伝子の組合せが変化することを見いだして理解する 連鎖と組換えを扱う
性染色体にも触れる
進化の仕組み 進化の仕組みに関する観察,実験などを行い,遺伝子頻度が変化する要因を見いだして理解する 種分化の過程も扱う
生物の系統と進化 生物の系統と進化 生物の遺伝情報に関する資料に基づいて,生物の系統と塩基配列やアミノ酸配列との関係を見いだして理解する 3ドメインを扱う
高次の分類群として界や門にも触れる
人類の系統と進化 霊長類に関する資料に基づいて,人類の系統と進化を形態的特徴などと関連付けて理解する
(2) 生命現象と物質
細胞と分子 生体物質と細胞 生体物質と細胞に関する資料に基づいて,細胞を構成する物質を細胞の機能と関連付けて理解する 生命現象を分子レベルで捉えるために必要な最小限の化学の知識にも触れる 生体膜を扱う
核酸や細胞骨格にも触れる
生命現象とタンパク質 生命現象とタンパク質に関する観察,実験などを行い,タンパク質の機能を生命現象と関連付けて理解する タンパク質が生命現象を支えていることを2,3の例を挙げて扱う
酵素については,その働きとタンパク質の立体構造との関係を扱う
代謝 呼吸 呼吸に関する資料に基づいて,呼吸をエネルギーの流れと関連付けて理解する ATP合成の仕組みを扱う(解糖系,クエン酸回路及び電子伝達系に触れる)
発酵にも触れる
光合成 光合成に関する資料に基づいて,光合成をエネルギーの流れと関連付けて理解する ATP合成の仕組みを扱う(光化学系,電子伝達系及びカルビン回路に触れる)
(3) 遺伝情報の発現と発生
遺伝情報とその発現 遺伝情報とその発現 DNAの複製に関する資料に基づいて,DNAの複製の仕組みを理解する
遺伝子発現に関する資料に基づいて,遺伝子の発現の仕組みを理解する
DNAの複製の仕組みについては,DNAポリメラーゼに触れる
遺伝子の発現の仕組みについては,転写及び翻訳を扱い,RNAポリメラーゼとリボソームに触れる
スプライシングにも触れる
発生と遺伝子発現 遺伝子の発現調節 遺伝子の発現調節に関する資料に基づいて,遺伝子の発現が調節されていることを見いだして理解する
転写の調節をそれに関わるタンパク質と関連付けて理解する
原核生物と真核生物に共通する転写レベルの調節を扱う
発生と遺伝子発現 発生に関わる遺伝子の発現に関する資料に基づいて,発生の過程における分化を遺伝子発現の調節と関連付けて理解する 2種類程度の生物を例にしてその概要を扱う
動物の配偶子形成,受精,卵割,形成体と誘導,細胞分化と形態形成,器官分化の始まりについても触れる
遺伝子を扱う技術 遺伝子を扱う技術について,その原理と有用性を理解する 制限酵素,ベクター及び遺伝子の増幅技術に触れる
それらが実際にどのように用いられているかについても触れる
(4) 生物の環境応答
動物の反応と行動 刺激の受容と反応 刺激の受容と反応に関する資料に基づいて,外界の刺激を受容し神経系を介して反応する仕組みを,関与する細胞の特性と関連付けて理解する 受容器として眼を,効果器として筋肉を扱う
刺激の受容から反応までの流れを扱う(神経系に関連して記憶にも触れる)
動物の行動 動物の行動に関する資料に基づいて,行動を神経系の働きと関連付けて理解する
植物の環境応答 植物の環境応答に関する観察,実験などを行い,植物の成長や反応に植物ホルモンが関わることを見いだして理解する 被子植物を扱う
「植物の成長」については,配偶子形成,受精,胚発生及び器官分化について触れる
植物ホルモンは3,4種類について取り上げる(植物ホルモンに関わる光受容体についても触れる)
(5) 生態と環境
個体群と生物群集 個体群 個体群内の相互作用に関する観察,実験などを行い,個体群が維持される仕組みや個体間の関係性を見いだして理解する 個体群内の相互作用として種内競争と社会性を扱う
生物群集 個体群間の相互作用に関する資料に基づいて,生物群集が維持される仕組みや個体群間の関係性を見いだして理解する 個体群間の相互作用として種間競争と相利共生を扱う
多様な種が共存する仕組みを扱う
生態系 生態系の物質生産と物質循環 生態系の物質生産と物質循環に関する資料に基づいて,生態系における物質生産及びエネルギーの移動と生態系での物質循環とを関連付けて理解する 物質生産については,年間生産量を生産者の現存量と関連付けて扱う
物質循環については炭素と窒素を扱う(窒素同化についても触れる)
生態系と人間生活 生態系と人間生活に関する資料に基づいて,人間生活が生態系に及ぼす影響を見いだして理解する 人間活動が生態系に及ぼす影響として地球規模のものを中心に扱う
配慮事項(高等学校理科共通)
  1. 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにする。その際,理科の学習過程の特質を踏まえ,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実を図る
  2. 「物理」,「化学」,「生物」及び「地学」の各科目については,原則として,それぞれに対応する基礎を付した科目を履修した後に履修させる
  3. 各科目を履修させるに当たっては,当該科目や理科に属する他の科目の履修内容を踏まえ,相互の連携を一層充実させるとともに,他教科等の目標や学習の内容の関連に留意し,連携を図る
  4. 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行う
  5. 各科目の指導に当たっては,問題を見いだし観察,実験などを計画する学習活動,観察,実験などの結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などが充実するようにする
  6. 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度の育成を図る
  7. 環境問題や科学技術の進歩と人間生活に関わる内容等については,持続可能な社会をつくることの重要性も踏まえながら,科学的な見地から取り扱う
  8. 各科目の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の収集・検索,計測・制御,結果の集計・処理などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用する
  9. 観察,実験,野外観察などの体験的な学習活動を充実させる
  10. 環境整備に十分配慮する
  11. 各科目の指導に当たっては,大学や研究機関,博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るようにする
  12. 科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れる
  13. 理科で学習することが様々な職業などと関連していることにも触れる
  14. 観察,実験,野外観察などの指導に当たっては,関連する法規等に従い,事故防止に十分留意するとともに,使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずる

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