レポートの書き方(グラフ)

数量的なデータあるいは数量的な関係を図形で表現した図を「グラフ」と総称しています。レポート・論文におけるグラフは、図に含まれます。

主なグラフ

データを表現する主なグラフとしては、次のようなものがあります。

散布図(XYグラフ)[scatter diagram]
表1. 某年度入学の中等理科専攻・環境コースの学生における基礎生物学実験Ⅰ・植物形態学分野(1年時)と植物形態学(3年時)の成績
授業名基礎生物
学実験I
植物形態学
生物/生命
以外
生物/生命
A9094.9
B7894.9
C8892.1
D7592.1
E9090.7
F7590
G8588.9
H8086.7
I7079.1
J8077.7
K6876.8
L9091.4
M6587.9
N7082.5
O7575.1
P6574.1
Q6573.1
R6871.9
S7870.4
T7570.4
U6567
V6565.6
W6565.5
X7564.9
Y7060

多数のサンプルについて複数の計測項目(例えば、葉の長さ・幅・厚さ)を取ったときに、項目間の値の関係や値のばらつきを表現する

散布図
図1. 某年度入学の環境コースの学生における基礎生物学実験Ⅰと植物形態学の成績の関係

上のグラフは、右側に示すデータに基づいている。表計算ソフトにおいては、2列目2行目のセル("基礎生物学実験Ⅰ"の下の空白セル)から右下隅のセルを選択してからグラフを挿入することで描くことができる。

ダメな例
散布図

左は、同じデータによる散布図だ。

レポート・論文のグラフでは白黒またはグレースケールで印刷されたときも必要な情報が明確に伝わることが望ましい。このグラフは、この点で望ましくない点だらけだ。(1) 複写時にコストが掛かるだけでなく再現性が低い、(2) 照明の条件や体調によっては見づらい、(3) 条件や体調が良好であっても、色覚(色の見かけ上の明るさや判別能力)には個人差があるため、読み取れない人がいる可能性が高い、などの問題点がある。

プロット(●や△、◆など)の適切な大きさは、プロットの密度などによって変わるが、この例では小さすぎる。また、ほぼ同大の●と◆で判別しにくい(最初の例では、小さめの●と大きめの△を使っている)。

また、字の大きさ(フォントサイズ)の大小が極端なのも望ましくない。高齢者が小さい字を読むときの苦労は、若年のときには想像できないので、学生は意識的に気をつかった方がよい。

縦軸と横軸はともに100点満点の成績点なので、同様に扱う方が理に適っているが、このグラフでは、縦軸と横軸の目盛が違い、目盛線は横軸のみにあって縦軸にない。


棒グラフ[bar chart]
母乳人工乳牛乳
図2. 母乳(人乳)を100としたときの人工乳(調整乳)・牛乳(普通牛乳)の乾燥重量あたり栄養量。食品成分データベース(文部科学省)による。
棒グラフ
図3. 某年度入学の環境コースの学生における基礎生物学実験Ⅰと植物形態学の成績(平均点)。エラーバーは標準偏差を示す。

ダメな例
棒グラフ

白黒印刷時・色覚個人差・高齢者などを無視した―従ってレポート・論文では望ましくない―グラフの例。棒グラフの場合、棒の輪郭線はある方がよい。表計算ソフトで書いた棒グラフは輪郭線がないことが多いので、後から加える必要がある。

棒グラフ棒グラフ

棒グラフにおいては、棒の長さが表現される大小関係を忠実に反映することが原則だ。このため、左のようなグラフは望ましくない(自然科学系のレポート・論文の場合。業界によっては推奨されている?)。右のように中略部を示す記号が入っていれば多少マシではあるが、望ましくないことに変わりはない。

ヒストグラム[histogram]

頻度分布を表わす棒グラフをヒストグラムという(棒グラフに含めないこともある)。

ヒストグラム ヒストグラム
図4. 某年度入学の環境コースの学生における基礎生物学実験Ⅰと植物形態学の成績分布。

2つの頻度分布を比べるとき、左の例のように1つのグラフで表すこともでき、右の例のように2つのグラフを並べて表すこともできる。

箱ひげ図[boxplot diagram]

頻度分布を表すグラフとして、箱ひげ図もある。表計算ソフトでは箱ひげ図を簡易に描くことができないが、論文やレポートでは比較的よく使われる。

箱ひげ図
図5. 某年度入学の環境コースの学生における基礎生物学実験Ⅰと植物形態学の成績分布。

箱ひげ図

箱ひげ図では、分布が順位に応じて4等分され、左のように配分される。例では扱っていないが、他から大きく離れた値=「外れ値」を独立した点として示すこともある。

折れ線グラフ[line chart]
折れ線グラフ
面グラフ[area chart]
円グラフ[pie chart]

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