ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)

ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)の花は雌性先熟で、糞や腐肉に似た匂いで小型のハエをおびき寄せ、花筒の奥の球形の部屋へと誘導する。部屋には柱頭があり、ハエは後戻りができずに、そこに閉じ込められる。その後、雄しべが花粉を出すと、部屋から脱出できるようになり、花粉を付けたハエは花から出ていく。

ウマノスズクサ ウマノスズクサ
ウマノスズクサ。ツル性の多年草。
雌性期の花
ウマノスズクサ
ラッパのように開いた口は、細い管のような花筒を通じて、毬のように丸くふくらんだ部屋に通じている。

ウマノスズクサ
花の内部。部屋の底には、太い六角形の花柱がある。花柱の上部には6つの三角形の柱頭があり、側面には12個の雄しべがへばりついている。子房は下位で、断面には胚珠が6列に並んでいる。

ウマノスズクサ
ウマノスズクサ
ウマノスズクサ 花の縦断面と内部。みずみずしい柱頭は横に広がり、雄しべはその裏側に隠れて下方に面している。葯は黄色でまだ花粉を出していない。花筒の奥には毛が斜めに生え、一方通行しか出来ないようになっているため、部屋に達したハエは後戻りできない。撮影に使用した花には2~4匹のハエが入っていた。

ウマノスズクサ
冷凍してから花を縦断した
雄性期の花
ウマノスズクサ ウマノスズクサ
ウマノスズクサ
ウマノスズクサ花の縦断面と内部。柱頭は濃紫褐色に変色して起きあがり、雄しべも横を向くようになる。葯は褐色になり、黄色い花粉を出している。花筒の奥の毛は萎縮して部屋の中のハエが出られるようになっている。撮影に使用した花にもハエはいなかった。
ウマノスズクサ属の多くは騙し送粉をするが、中には、産卵場となるものや、交尾場となるものもある[Sakai S 2002 Aristolochia spp. (Aristolochiaceae) pollinated by flies breeding on decomposing flowers in Panama. American Journal of Botany 89:527-534. (Abstract]
花筒内面の毛の変化
雌性期
ウマノスズクサ ウマノスズクサ
雄性期
ウマノスズクサ ウマノスズクサ
果実
ウマノスズクサ果実。熟して乾くと上の方が6つに裂ける。中には平たい種子が積み重なるように詰まっている。
ウマノスズクサ ウマノスズクサ ウマノスズクサ
種子
ウマノスズクサ ウマノスズクサ ウマノスズクサ ウマノスズクサ
ウマノスズクサ ジャコウアゲハ
ジャコウアゲハ幼虫

ウマノスズクサ
うどんこ病
オオバウマノスズクサ
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