オニバス(スイレン科)
大学構内の池で栽培されている個体
葉
葉の上面
葉の下面
葉は円形の浮水葉で、上面の葉脈分岐点は盛り上がり、堅いトゲがある。下面は紫色で、やはり葉脈分岐点にトゲがある。
展葉
成長段階と葉形の変化
幼植物。線形の沈水葉(写真では見えない)→先が尖った矢尻形の沈水葉→先の丸い矢尻形の浮水葉→菱形の浮水葉→楕円形→円形、のように、後からできる葉ほど、形も大きさも成葉に近づく。
花
花が咲くのは1個体でせいぜい数個、まったく咲かない個体もある。どの個体も、開花せずに子房がふくらむ花(閉鎖花)を多数つける。
咲くときには、花茎が上に伸びて水面からつきだす。萼片4枚、花びら16枚。花びらは、半開きていどしか開かない。
雄しべ
花が終わると花茎が伸びて横に倒れ、先端以外は水中に沈む
葉を突き抜けて咲くこともある
果実
次々と果実が熟するころ、巨大な葉は緑色が抜け、まもなく黒茶色になって溶けるように消えていく
大きい果実は閉鎖花由来で、咲いた花は小さな果実にしかならないという。
完熟すると、中の赤い粒が透けて見える
果皮の1ヶ所が破れて、種子が出始める
先端部(萼片に包まれた部分)を残して、果実全体がぐずぐずに分解する
種子
くずれた果実から離れた種子は、赤いもようの入った果肉状の種衣に包まれている。しばらく水に浮いているが、数日のうちに沈んでしまう。
長年オニバスの生育が途絶えていた池で、水面を覆って繁茂していた植物を除去すると、底に沈んでいた種子が浮き上がってくる
種衣を剥いだ種子はほぼ球形で深いオリーブ色
へそ(左側の楕円形)と珠孔(右側の円形)
種衣を「脱がせた」ところ。種衣は珠柄の組織が成長したもので、へそにつながっている。種衣の裏側には細かいしわがある。
種子の断面。堅く厚い種皮が胚と胚乳を包む
Kadono Y & Schneider E. 1988. The Life History of Euryale ferox Salisb. in Southwestern Japan with Special Reference to Reproductive Ecology. Plant species biology 2(1-2):109-115 (Abstract )
石川の植物: オニバス (本多郁夫氏)
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