カラスムギとイネ科の小穂・小花
カラスムギ
カラスムギ カラスムギ
カラスムギ カラスムギ
春に道端で開花する。花序(穂)を近くで見ると、糸切り鋏のような形で先にとげがついた「小穂(しょうすい)」が細い柄でぶら下がっている。

カラスムギ カラスムギ
小穂を左右に押し広げたところ。小穂は、2枚のかさかさの葉(包穎―ほうえい―[glume])と、包穎にくるまれた2~3個の「小花(しょうか)」でできている。G1・G2が包穎、F1・F2・F3が小花。

カラスムギ カラスムギ
小花を1つ取り出して、押し広げたところ。小花は、2枚の葉(Lの護穎―ごえい―[lemma]とPの内穎―ないえい―[palea])、そして花1個(写真では、護穎と内穎にはさまれて、葯(A)の一部だけが見える)からできている。護穎は、包穎と似た形をしているが、背中側の真ん中あたりに細長いねじれたトゲ(芒―のぎ―: AW)がついていて、小穂の外まで突き出している。内穎は護穎より平たくて、護穎にふたをするようにはまり込んでいる。

カラスムギ カラスムギ
護穎と内穎の間から取り出した花。1個の雌しべ・3個の雄しべ・2枚の透明な鱗片がある。雌しべの先には、2つの柱頭(ST)がある。柱頭は、ブラシのようになっていて、風で飛んでくる花粉を受け取りやすい。雄しべと雌しべの付け根には、白い毛(HA)が密生している。一番外側の2枚の鱗片は、「鱗皮(または鱗被)―りんぴ―[lodicule]」と呼ばれ、花被片に相当するものと考えられている。開花のときには、雄しべの葯(A)の下の花糸(隠れていて見えない)が伸びて、葯は小穂の外側にぶら下がる。柱頭も小穂の外に顔を出す。

カラスムギ イネ科
花と花式図
果実
カラスムギ花序の上方から熟していく
カラスムギ カラスムギ
結実期。包穎は乾いてわら色になり、両側に開いて頴果(結実期の小花)が露出する。

カラスムギ
頴果も黒ずんだわら色。護穎のつけねには堅い毛が密生する。護穎の背面についた芒は中央で屈曲し、屈曲点から付け根まではねじれている。湿ると芒のねじれがとれる。

カラスムギ カラスムギ
乾いた日の果実と雨上がりの果実

カラスムギ
個体によっては、護穎の背面にも毛が生えている

カラスムギカラスムギ

カラスムギ剥くと、果実が入っている。
マカラスムギ(エンバク)

カラスムギと近縁な栽培種

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