花の中心には、雄しべと雌しべが組み合わさった「蕊柱(ずいちゅう)」(肉柱体 [gynostegium]がある。蕊柱のてっぺん(柱冠)は五角形で、5辺に褐色の膜状の葯、その外側には赤紫に色づいた「袋」(図鑑では「副花冠」と呼ぶ)があって蜜をたたえている。
蕊柱の断面。雄しべの花糸の維管束(fb)は、「袋」の中を大きく曲がりくねって葯(a)に行く。子房(ov)から花柱(*)が柱頭部(s)につながる。cは花冠裂片。
「袋」・葯・柱頭部を取り除いたところ。雌しべは2つで、子房は細かい突起におおわれている。花冠裂片のつけねがつながっているのも分かる。
横から見た蕊柱。中央上に黒い「取っ手」のような突起が見える。突起には粘着性がある。
紙片などで突起を左右に動かすと、だんだんゆるんで持ち上がって、最後には蕊柱から離れる。突起をはさんだ2つの葯から花粉塊が1つずつ、突起につながって蕊柱から離れる。