フジとマメ科の蝶形花
フジの花
フジ フジ フジ フジ

フジ フジ

ネムノキやジャケツイバラなどを除くマメ科の多くでは、花は次のような共通点をもち「蝶形花」と呼ばれる。花びらは5枚で、上に飛び抜けて大きくよく目立つ1枚(旗弁[flag/banner/standard/vexillum]―f)があり、二枚貝の貝殻のように組み合わさった2枚(竜骨弁または舟弁[keel]―k)を残りの2枚(翼弁[wing]―w)がはさんでいる。旗弁の付け根には、黄色い蜜標がある。

フジ簡易紫外線写真。翼弁と竜骨弁は旗弁よりも紫外線を吸収する。また、旗弁のつけねにも吸収部がある。しかし、可視光線で見える模様の方がずっとはっきりしている。
フジ横から見た花。
フジフジ
翼弁と竜骨弁を1枚ずつ取り除いたところ。蜜標の奥に当たるところに蜜腺(★)がある。竜骨弁に包み込まれるように雄しべと雌しべがあり、竜骨弁の尖ったところに葯と柱頭(↓)がある。
フジ
翼弁と竜骨弁の基部は糸のように細くなっていて、力を加えると簡単に動く。
フジフジ
10本の雄しべのうち9本は先の方を除いて癒着して丈夫なさやになっている(上の1本だけは他から独立している)。
マメ科花式図

翼弁にハナバチが止まって奥の方の蜜を吸うときには、翼弁と竜骨弁が押し下げられ、葯と柱頭が露出してハナバチの腹に触れる仕掛けになっている。

フジ・クマバチ
白花のフジを訪花しているクマバチ

フジクマバチの訪花
フジ
フジクマバチが訪花済の花では、葯と柱頭がはみ出している
果実と種子
フジ フジ
フジ

関東低地では年を越すころ果実が熟する。果皮がねじれて裂け、果皮は落下し、レンズを2つ割にした形の種子は弾き飛ばされる。

フジ フジ

拾い集めた種子。色や形は変異がある。母樹から10m離れたところにも落ちており、冬枯れの中発芽していた種子もあった。

フジ
シュート
フジつるはS巻き
上下反転する蝶形花
アメリカデイゴアメリカデイゴ
南米原産の街路樹、アメリカデイゴ。反転して旗弁が下に来る。フジでは4枚の花びらが雄しべ・雌しべを二重に包み込むが、アメリカデイゴでは、外側の2枚は退化して小さな鱗のようになり、内側の2枚は融合して丈夫なさやになっている。さやの中、雄しべと雌しべの付け根には、蜜が溜まっている。

ハマナタマメ ハマナタマメ
ハマナタマメ。花は花序の先端の垂れ下がったところで開く。ふつうのマメ科とは上下が逆になり、旗弁が下、翼弁と竜骨弁が上になる。
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