0-3. 陸上植物を構成するグループ
0-3-1. コケ植物・シダ植物・裸子植物・被子植物

現在まで生き残っている陸上植物(現生の陸上植物)は、次のような特徴で区別されるコケ・シダ・裸子・被子の4グループだ。

ゼニゴケ ホシダ
クロマツ ヤマザクラ
ゼニゴケ(コケ植物)・ホシダ(シダ植物)・クロマツ(裸子植物)・ヤマエンゴサク(被子植物)

コケ・シダ・裸子・被子は、系統樹上では7つの枝(クレード[clade]; 単系統群[monophyletic group])に分けられる。7つのうち、3つはコケ植物、2つはシダ植物で、残る2つは裸子植物と被子植物だ。下に、遺伝子から推定された系統樹の例を示す。

遺伝子から推定された現生陸上植物の系統関係(1)
タイ類コケ植物
セン類
ツノゴケ類
ヒカゲノカズラ類シダ植物維管束植物
シダ類
裸子植物種子植物
被子植物

上の系統樹では、タイ類、セン類の順に分岐し、最後にツノゴケと維管束植物が分岐しているが、下のように、最初にコケ植物と維管束植物に2分岐した系統樹も有力な仮説だ。

遺伝子から推定された現生陸上植物の系統関係(2)
タイ類コケ植物
セン類
ツノゴケ類
ヒカゲノカズラ類シダ植物維管束植物
シダ類
裸子植物種子植物
被子植物
(1)と(2)との違いは、共通祖先の枝(一番左の枝; 系統樹の根[root]という)の位置だけで説明できる。(1)と(2)で、矢印の箇所に根をつけ変えると、(1)は(2)に、(2)は(1)に変換される。

このように、複数の系統樹から一つに絞れないときは、合意樹[consensus tree]を暫定的な結論とすることが多い。(1)と(2)の合意樹は下のようになる。合意樹では、複数の系統樹で共通する部分はそのまま残り、食い違う部分は分岐順序未確定[unresolved]として多分岐[polytomy]で示される。だから、左端の4分岐(タイ類・セン類・ツノゴケ・維管束植物)は、図の通り一気に4つの系統に分岐したことを示すのではない。

遺伝子から推定された現生陸上植物の系統関係(合意樹)
タイ類コケ植物
セン類
ツノゴケ類
ヒカゲノカズラ類シダ植物維管束植物
シダ類
裸子植物種子植物
被子植物
分岐順序や分岐年代の推定については、TimeTree: The Timescale of Lifeでまとまった情報が参照できる。

現在は生きていないが化石で見つかっている植物の中には、シダとコケの中間のようなもの、シダと裸子植物の中間のようなものなど、さまざまなグループがある。

現生陸上植物の形質行列[character matrix](生物群×形質の表)を下に示す。各行がグループ(分類群)を、各列が形質を表わしている。わりと目に止まりやすい違いに絞ってあり、他にも多数の区別点がある。

現生陸上植物の比較
維管束配偶体配偶体と
胞子体の
関係
受精受粉散布体種子
雌性雄性
コケ植物
(仮根)
葉状体
茎葉体
(2)精子胞子
維管束
植物
シダ植物篩管
仮導管

(1)
前葉体  胞 (3)
種子
植物
裸子
植物
造卵器
+胚乳
花粉粒 (4)送受粉

花粉管
(5)
受粉滴種子外生
被子
植物
篩管
仮導管
導管
胚嚢柱頭
(6)
子房
室内
各群の特徴として挙げられているものには、少数の例外を含むものがある
陸上植物は配偶体・胞子体の2タイプの多細胞体があり、胞子体は細胞あたりのDNAが配偶体の2倍。生長と有性生殖の過程で配偶体➜受精➜胞子体➜減数分裂➜配偶体のサイクルを繰り返している(右図)。
(1) シダ植物マツバラン類は仮根のみ
(2) 胞子体は受精した(雌性)配偶体上にできる
(3) 配偶体・胞子体とも独立生活: 配偶体は単純な体制で小型
(4) 配偶体は微小で胞子体の中に埋め込まれる
(5) 裸子植物のイチョウとソテツ類では、短い花粉管から放出された精子が泳いで卵に達する
(6) 柱頭で発芽した花粉管は雌しべの組織を通り抜けて卵に達する
世代交代
陸上植物の多様化における2つの重要な進化

複数の生物群の間で形質(特徴)に違いが見られるとき、形質行列[character matrix](生物群×形質の表)と系統樹を重ね合わせることによって、次のようなことが推定できる。

上で出てきた系統樹と形質行列をともに簡略化し、左に系統樹、右に形質行列と並べると、下のようになる。

系統樹 グループ 形質行列
維管束 受精 散布体
コケ植物 なし なし 精子 胞子
シダ植物 あり あり
裸子植物 送受粉
花粉管
種子
被子植物

維管束・根がある各グループから系統樹を遡ると、矢印が指す1点に集まる。このことから、以下のことが推定される。

  1. 維管束・根はこれらのグループが分岐する過程で新たに出現した特徴(派生形質)
  2. シダ・裸子・被子の共通祖先で出現して各グループに引き継がれた
系統樹 グループ 形質行列
維管束 受精 散布体
コケ植物 なし なし 精子 胞子
シダ植物 あり あり
1➚
裸子植物 送受粉
花粉管
種子
被子植物

同じように、種子・花粉管を持つ各グループから系統樹を遡ることで、新しい受精様式と散布体が裸子・被子の共通祖先で出現したことが推定される。

系統樹 グループ 形質行列
維管束 受精 散布体
コケ植物 なし なし 精子 胞子
シダ植物 あり あり
裸子植物 送受粉
花粉管
種子
2➚被子植物

両方を1つの系統樹に盛り込むと、下図のようになる。

系統樹 グループ 形質行列
維管束 受精 散布体
コケ植物 なし なし 精子 胞子
シダ植物 あり あり
1➚
裸子植物 送受粉
花粉管
種子
2➚被子植物

1➚は維管束・根の進化、2➚は散布体・受精様式の進化を示す。陸上植物の進化の過程では2つの重要な進化があり、コケ植物・シダ植物・種子植物の区別につながった。

★☆は、遺伝子の大規模な分析から推定された「全ゲノム重複」[whole-genome duplication; WGD]で、裸子植物と被子植物の分岐の直前に1回(★)、被子植物の共通祖先で1回(☆)起こった。全ゲノム重複は、核のゲノム全体が二重になる(従って、全ての遺伝子が二重になる)現象で、染色体レベルでは(染色体数が倍になるので)「倍数化」[polyploidization]と呼ぶ。生物のさまざまなグループで、遺伝子の重複は遺伝子の機能の多様化を通じて形質進化の駆動力になったと考えられており、全ゲノム重複は極めつけに大がかりな遺伝子重複だ。被子植物は、共通祖先の段階で2回の全ゲノム重複を経た。共通祖先から分岐した多数のグループでも全ゲノム重複が高頻度で起こり続けている。

同じ形質が系統樹の複数の場所で進化したり(平行進化[pararellism])や祖先が獲得した形質が消失したり(進化の逆行[reversal])などが起こると、推定は上の例よりも複雑になり、確定しない場合もある。

形質行列のためのデータ集めから始まり、このような分析やさらに発展したさまざまな分析を行う研究分野を比較生物学[comparative biology]という。形態的な形質の場合は比較形態学、生態的な形質の場合は比較生態学のように細分されることもある。また、形質の代わりに地理的な分布をとって同様の分析を行う研究分野を系統生物地理学といい、広い意味での比較生物学に含まれる。

系統樹の精度に応じて推定の精度が変わる。信頼できる系統樹がない段階ではグループ間の比較(例えば、系統関係が近いと推定される科どうしの比較)で代用することもあるが、精度はずっと低くなる。
0-3-2. コケ植物

陸上植物の進化の初期に分岐したグループのうち、現在まで続いているのは4つで、そのうち維管束植物(後述)を除く3つを総称して「コケ植物」(コケ)と呼ぶ。

コケ植物の植物体は、細胞ごとにゲノム1組がある配偶体[gametophyte]で、形状からは次の2つのタイプがある。どちらも少数の細胞層でできており、根は持たず、仮根という細長い細胞の集まりで植物体を固定している。

  1. 茎葉体: 軸状の茎に平面的な葉がつく
  2. 葉状体[thallus 複数形 thalli]: 全体が平面的で、端が二叉に分かれながら伸長する

コケ植物に含まれる3つのグループは、それぞれ、タイ類・蘚類・ツノゴケ類と呼ばれる。

  1. タイ類 (苔類)[liverwort]: ゼニゴケなど。茎葉体を持つものと葉状体を持つものとがある。
  2. セン類 (蘚類)[moss]: スギゴケなど。植物体は茎葉体
  3. ツノゴケ類[hornwort]: 葉状体
葉状体を持つタイ類
マキノゴケマキノゴケ(コケ植物・タイ類)の葉状体と胞子体

トサノゼニゴケ トサノゼニゴケ
トサノゼニゴケトサノゼニゴケ(コケ植物・タイ類)の葉状体裏と仮根
茎葉体を持つタイ類
オオウロコゴケ オオウロコゴケ
オオウロコゴケ(コケ植物・タイ類)の茎葉体
セン類
コスギゴケ
コスギゴケコスギゴケ
コスギゴケ(コケ植物・セン類)の群生・茎葉体・蒴(胞子体)

セン類の1種タチヒダゴケ(コケ植物・セン類)の茎葉体と仮根
ツノゴケ
ミヤベツノゴケ
ミヤベツノゴケ
ミヤベツノゴケ
ミヤベツノゴケ(コケ植物・ツノゴケ類)の葉状体と胞子体
トサホラゴケモドキ ナミガタタチゴケ
ミヤベツノゴケ コケ植物の組織。左上―トサホラゴケモドキ(タイ類)の葉、上―ナミガタタチゴケ(セン類)の葉、左―ミヤベツノゴケの葉状体。細胞層が少なく葉緑体が大きいコケ植物は細胞の観察に適している。
典型的なタイ類の細胞は、葉緑体以外に「油体」という小粒を含む。典型的なツノゴケの細胞は、巨大な葉緑体を1個または2個含む。

コケ植物は生活に必要な水分の吸収とガス交換を体表全体でするため、植物体の姿と生育環境に次のような制約がある。

タチヒダゴケタチヒダゴケ
乾燥時のタチヒダゴケ(セン類)と霧吹きで湿らせて30分後のようす

だから、コケ植物の身体は地表や岩の表面、木の幹などを低く(多くの場合は平面的に)覆うようなかたちとなる。乾燥すると細胞が縮んで耐え、雨や霧が掛かると水分を吸収して速やかに復活する種も多い。これらの点で、コケ植物は、地衣[lichen](菌類と単細胞藻類(緑藻かシアノバクテリア)の共生体)や、単細胞生物の群体が形成するマットと似ている。

ナミガタウメノキゴケ
ナミガタウメノキゴケ(地衣)

イシクラゲ
地表性のシアノバクテリア・イシクラゲ

地表を平面的に広がる葉状体や茎葉体=配偶体に対して、胞子体は配偶体から上へと突き出して(ゼニゴケ類は、この点でも例外的だ)胞子が広い範囲に飛散することを可能にしていた。胞子体は胞子を散布するためだけに作られる短命な構造だったが、後述するように維管束植物に見られる特徴のいくつかをすでに備えていた。

0-3-3. 維管束植物の出現・陸上生態系の多様化

コケ植物の3つのグループと異なり、維管束植物(=シダ植物・裸子植物・被子植物)の共通祖先では、以下のような特徴が進化した。

  1. 配偶体より圧倒的に大きい胞子体が発達し、胞子体の各器官では細胞がコケよりずっと立体的に配置される。コケでは配偶体が大きく、胞子体は配偶体上にできる
  2. 根・クチクラ・気孔・維管束の組み合わせによる吸水・ガス交換・蒸散・導水のシステム
    1. 根が地中に伸びて、植物体を固定するとともに表面から養分を含む水溶液を吸収する
    2. 葉や茎の表面はクチクラに覆われ、開閉する気孔がある。気孔は、組織内のすきま(細胞間隙)を通じて各細胞につながっている。各細胞のガス交換と蒸散は、細胞間隙と気孔を介して起こる
    3. 水溶液が移動する経路=維管束(仮道管・導管・篩管)がある。維管束は、連続した管による効率的な通水機能を持つとともに、リグニンの裏打ちによって補強され、植物体を支持する骨組みとしても機能する。
カボチャ導管カボチャ(ウリ科)の導管

ノビル
ノビル(ユリ科|ヒガンバナ科)の維管束の横断面

コムギ
ダイコン上: コムギ(イネ科)の根の縦断面
左: ダイコン(アブラナ科)の発芽直後に伸びた幼根


ハマヒサカキハマヒサカキ(ツバキ科|ペンタフィラクス科)の葉の断面(表皮付近)。表皮の上面をクチクラ(純白に見える層)が覆っている。
ホシダホシダ(シダ植物)の葉下面(スンプ像)

ホシダホシダ
ホシダ(シダ植物)の茎と葉の横断面。茎の断面では、2~数個の不定形の維管束断面がリング状に並ぶ

維管束・根・気孔・クチクラ
維管束植物(左)とコケ植物(右)の吸水(1)・蒸発/蒸散(2)・ガス交換(3)・水輸送(4)の模式図
ガス交換
蒸発/蒸散
吸水固定水輸送支持
コケ植物体表全体仮根なし/通水細胞なし
維管束植物気孔維管束

透水性・通気性が低いクチクラに覆われた体表では、ガス交換と蒸散(水の蒸発)はもっぱら気孔で行なわれる。体表でのガス交換と異なり、気孔の分布によってガス交換の領域が限定され、孔辺細胞の変形による開閉によってガス交換のタイミング・量が調節される。

生命活動や蒸散に必要な水は、土壌から吸収されて導管を通って根から茎、さらには葉へ移動する。蒸散は、導管/仮導管を水が上昇する原動力となる。

根は土壌中の広い範囲から水分と養分を集めることができる。また、根は特定の菌類の生育の場となり(菌根)、そのことによって養分の吸収力を高めている。

維管束植物では吸水とガス交換の場所が分離され、吸水はもっぱら根、ガス交換はもっぱら気孔で行われている。気孔と根、そして両者をつなぐ維管束という組み合わせは、コケよりはるかに大きく高い植物体を可能にした。

ブナブナ(ブナ科)の樹形(早春)

現在の地球上では、いたるところで裸子植物・被子植物の巨樹を見ることができる。

恒水性・変水性と「乾燥への強さ」

植物体内の水分条件は、外界の水分条件の変動と連動する。連動の度合いが小さいことを「水分条件の恒常性」または「恒水性」[homoiohydry; homeohydry]という。反対に、外界の水分条件の変動に強く連動することを「変水性」[poikilohydry]という。

維管束植物はコケ植物より高度な恒水性を備えており、外界の乾燥に対して植物体の乾燥を防ぐことで陸上生活に適応している。しかし、いったん乾燥すると致命的なダメージを受ける。コケ植物や陸生藻類は変水性の傾向が強く、外界が乾燥すると植物体も乾燥するが、多くの種が乾燥に対する耐性[Desiccation tolerance]をもっている(Proctor & al. 2007; シダ植物や被子植物でも、少数だが変水性と乾燥耐性をもつ種が知られている)。

「乾燥を防ぐ」「乾燥に耐える」のどちらが「乾燥に強い」かは条件次第だ。根を張るすきまがない壁面など、維管束植物が生えることができずコケと地衣だけしか見つからない環境も多い。極端に生育期間が短い高緯度地帯でもコケと地衣が優占し、南極大陸にはセン類約100種・タイ類約25種・地衣類300種以上に対して、種子植物はイネ科コメススキ属のDeschampsia antarcticaとナデシコ科のColobanthus quitensisの2種のみだ(現在では、多数の外来種が加わっている)。

コケ植物に見られる気孔・クチクラ・維管束の前駆的な構造

クチクラはコケ植物の配偶体・胞子体に広く見られるが、水の蒸発を防ぐほど厚くないことが多い。セン類・ツノゴケの胞子体は比較的発達したクチクラと気孔を持ち、機能ははっきりと分かっていないが、維管束植物のクチクラ・気孔と共通の起源を持つと推定され(Ligrone & al. 2012)、気孔の発生過程・制御遺伝子は、セン類・ツノゴケ・維管束植物を通じて共通性が高い(Qu & al. 2017)。

茎葉体を持つコケ植物では、茎の中心や葉の中肋に細長い細胞があり、単純な通水機能を持つ。特に、セン類の一部(内水性セン類 [Endohydric mosses])の茎はクチクラで覆われ、発達した通水細胞群が中心部を貫通しており、水は主に茎の芯を通じて植物体に行きわたる。

維管束の進化によって、樹木という生活型、さらに森林という生態系が出現することになった。古生代デボン紀には、湿潤なところでは森林、乾燥したところでは草原など、さまざまな生態系が成立して、陸上植物は、他のさまざまな生物群と生態的な関係でつながっていた。

陸上植物と他の生物との間の最も普遍的な関係は、(広い意味での)「食べる―食べられる」関係だ。陸上における光合成生産の主役として、おびただしい量の植食者[herbivore]や植物病原体[plant pathogen]または植物寄生者[plant parasite]の生活を支える一方、廃棄器官(落葉など)や枯死した植物体を(広い意味で)食べて生活する分解者[decomposer]も大量に存在する。

生きた植物を(狭い意味で)食べる生物を植食者、内部から栄養を吸収する生物を植物病原体/植物寄生者というが、境界ははっきりしない。また、それらと分解者との境界もあいまいになることがある。

植食[herbivory]の痕跡を残す化石はシルル紀末から出現してデボン紀に増加し、石炭紀の中盤には多様な節足動物、特に昆虫によるさまざまな植食のパターンが見られるようになった。

Labandeira CC 2007. The origin of herbivory on land: Initial patterns of plant tissue consumption by arthropods. Insect Science 14: 259-275 DOI: 10.1111/j.1744-7917.2007.00141.x-i1

菌類・ササラダニ・トビムシなど土壌中の分解者の多くはデボン紀には化石が知られており、植物と分解者の関係はすでに現在とかなり似たものになっていたと考えられる。

分解者との関係が植物にとって(少なくとも直接的には)利益も損害もない(中立)のに対して、植食者・植物病原体との関係は植物に大きな損害(食害・病害)を与える。そのため、植物の方では、トゲや忌避物質、植物毒などのさまざまな防御・回避のしくみが進化し、それに対して植食者・植物病原体の方では解毒能力などの対抗手段が進化した。

植食者が植物の進化を促し、植物の進化が植食者の進化を促すというように、複数の生物群が利害関係を通じてからみあいながら多様化することを共進化[coevolution]という。

デボン紀の陸上植物は、敵対的な「食べる―食べられる」関係、中立的な分解者との関係、そして、相利的な菌根(前述)と共生窒素固定を通じて、おびただしい量の他の生物の生存を支え、現在にいたるまで陸上生態系の基盤となりつづけている。

共生窒素固定: 根粒菌・Frankia属(放線菌)・アナベナ(シアノバクテリア)・ネンジュモ(シアノバクテリア)など、バクテリアの中には大気中の分子窒素(N2)を植物が利用できるアンモニアに変換する能力を持つものがある。これらのバクテリアが陸上植物の体内に住み、アンモニアを植物に供給することを共生窒素固定といい、コケ・シダ・裸子・被子のそれぞれで一部の種に見られ、土壌の窒素分が不足する環境で優位をもたらすと考えられている。
0-3-4. シダ植物

最も早く、古生代石炭期を中心とした古生代の後半に森林を形成したのは、現在のシダ植物の祖先にあたる植物たちだ。

現生のシダ植物は、2つのグループから構成されている。

  1. ヒカゲノカズラ類(ヒカゲノカズラ・トウゲシバ・クラマゴケの仲間)
  2. シダ類

系統的には、ヒカゲノカズラ類が分岐した後で、シダ類と種子植物が分岐した。ヒカゲノカズラ類の葉は他とは違う単純な構造を持ち、「ミクロフィル」[microphyll](phyll=葉)と呼ばれている。

マンネンスギ 左: ヒカゲノカズラ類のマンネンスギ

下: コンテリクラマゴケ
コンテリクラマゴケ

シダ類からは多数の系統がさらに分岐したが、その中で、マツバラン類(根を持たない/明瞭な葉がない)、トクサ類(スギナ・トクサなど。直立した茎を輪状に取り巻いて小さな三角形の葉がつく)は、飛び抜けて変わったかたちをしており、それ以外のシダ類(狭義のシダ類)と独立の系統と考えられていたこともあった。

遺伝子から推定されたシダ類の系統関係
マツバラン
ハナヤスリなどシダ類(狭義)
リュウビンタイなど
スギナ・トクサなど
ゼンマイなどシダ類(狭義)
薄嚢シダ
マツバランスギナ(ツクシ)左: マツバラン
右: ツクシとスギナ。スギナが春先に出す生殖用の茎を「ツクシ」という。

古生代石炭紀・ペルム紀の湿地では、ヒカゲノカズラ類のリンボク[Lepidodendron]・フウインボク[Sigillaria]やトクサ類のロボク[Calamites]などの巨木が「石炭の森」[coal forest]と呼ばれる森林を作っており、枯死後は低酸素条件下で石炭化した。
ホシダ
ヒカゲヘゴ上: ホシダ
左: ヒカゲヘゴ

現在のシダ植物は、地下茎から葉だけを地上に広げる低い植物が多い。熱帯・亜熱帯地域ではヤシのような姿の木性シダ(ヘゴ類)が見られる。

0-3-5. 散布体の進化―胞子から種子

単細胞生物は風や水に流されるだけではなく、鞭毛[flagellum]を動かすこと(鞭毛運動)や細胞自身が収縮すること(アメーバ運動)によって移動する。多細胞生物の一歩手前である群体までは、単細胞生物と同じような方法を使っている(ボルボックス―鞭毛運動、粘菌―アメーバ運動)。しかし、多細胞生物になると、細胞一つ一つの運動では生物体全体の運動につながらなくなる。多細胞動物では、神経系と筋肉を発達させることで多数の細胞の動きを集中的にコントロールし、すばやい移動を可能にした。

多細胞の藻類は、同じ方法をとらず(あるいは、とることができず)、多細胞体の一部を水底などに固定することで固着生活を送るようになった。そのかわり、有性生殖のため単細胞(卵・精子・受精卵・胞子)になるときに水流に乗って、または鞭毛運動で移動する。

陸上植物のうち、コケ植物とシダ植物では、丈夫な殻で覆われた胞子[spore]を空中に飛散させ(胞子散布)、水の力を借りずに長距離の移動をする。

マキノゴケマキノゴケ
マキノゴケ(コケ植物・タイ類)の胞子の散布。胞子は「弾糸」とよばれる糸状の構造と混じっていて、弾糸が伸びるとともに胞子が溢れだす。

トサノゼニゴケトサノゼニゴケ(コケ植物・タイ類)の胞子体とその裂開、胞子と弾糸
トサノゼニゴケトサノゼニゴケ

ヤブソテツヤブソテツ(シダ植物)の胞子嚢群の断面

シダ植物では葉の裏や縁に胞子嚢群(ソーラス)がつく。胞子嚢群は、粒状の胞子嚢の集まりで、若いうちは膜(包膜)に覆われていることが多い。熟すると包膜が縮んで胞子嚢が露出する。

ホシダホシダの葉の裏に並んだ丸い胞子嚢群

ホシダホシダの胞子嚢は柄がついたレンズ形で周囲の3/4くらいが縞目のついた環帯に縁取られている。乾燥すると、環帯の収縮運動で胞子を弾き出す。

(動画)

ホシダ
ホシダの胞子嚢群・胞子嚢・胞子のSEM(走査型電子顕微鏡)像。白線は、それぞれ、1mm・100μm・50μm。
ホシダホシダ

胞子は散布先で体細胞分裂をして配偶体(コケ植物では葉状体または茎葉体、シダ植物では前葉体)となる。

マメヅタ マメヅタマメヅタ(シダ植物ウラボシ科)の培養胞子から発生した細胞塊と前葉体

ミゾシダ ミゾシダ
ミゾシダ(シダ植物メシダ科)の前葉体と前葉体上で発生した胞子体

カキノキ カキノキ

種子植物の胞子は雄性の小胞子と雌性の大胞子とに分かれ、大胞子に由来する雌性配偶体(胚嚢)は親個体上に留まるため、胞子だけで分布を広げることはできない。

カキノキ(カキノキ科)の種子と縦断面。双葉を持った胚は、茶色の種皮・半透明の胚乳に囲まれている。

種子植物では、受精卵が親個体から養分の供給を受けて細胞分裂し、幼い胞子体=胚となってから親から離れて移動するようになった。

種子は胞子より大きくて重いので、移動距離のみを考えると種子散布は胞子散布より不利だ。反面、発生がかなり進んだ状態で移動するので、移動後の発芽・成長ではずっと有利なスタートを切ることができる。また、さまざまな方法で風や動物を使って散布距離を稼ぎ、不利を埋め合わせている。

コケ植物
シダ植物
胞子 単細胞体 弾出・飛散
裸子植物
被子植物
種子 多細胞体
幼植物(胚)+胚乳+種皮
多様な散布手段

種子をつける植物(種子植物)はデボン紀に出現し、多数の系統に分岐したが、現在まで残ったのは2つだけだった。1つは被子植物、もう1つは現生の裸子植物の祖先となる系統だ。

0-3-6. 受精様式の進化―精子受精から送受粉+花粉管受精へ

シダ・コケは、鞭毛を持つ精細胞(精子)が雨や地表水の中を移動して受精する(精子受精)。裸子植物・被子植物の共通祖先で、受精は次の2段階で行われるようになった。

  1. 送受粉: 精細胞を含む花粉(雄性配偶体)が風や動物などによって胚珠の近くに運ばれる
  2. 花粉管受精: 花粉から伸びだした花粉管が精細胞を卵のそばまで運んで受精する

送受粉と花粉管受精の組み合わせによって受精は外部の水に依存しなくなった。また、精細胞の移動距離が格段に長くなって、胞子と比較して短い種子の散布距離を、(胞子と違って)散布先に同種の生殖個体がいるという限定つきではあるが、埋め合わせた。


トサノゼニゴケ(コケ植物・タイ類)の精子と造卵器(動画)

ホウセンカホウセンカの送受粉と花粉管伸長。ハチが花に潜り込んで吸蜜する(左上)と背中に花粉がつく(右上)。他の花に潜り込んで吸蜜するときに背中の花粉が柱頭につく(左下)。柱頭で花粉管は発芽・伸長して(右下)精細胞を卵細胞のところへ運ぶ。

裸子植物の多くでは、花粉は胚珠の先端から分泌された小さな水滴(受粉滴[pollination drop])に付着し、やがて受粉滴とともに胚珠内に吸い込まれてから花粉管が伸びて先端が卵細胞に達する。また、被子植物では雌しべの一部が凹凸や分泌液に富んだ花粉付着面(柱頭)になっている。花粉は柱頭の表面で花粉管を伸ばし、花粉管は雌しべに入り込む。

イチョウイチョウ(裸子植物)の胚珠の先端から受粉滴が分泌されている。

ネズミモチ
ネズミモチ(モクセイ科)の柱頭。花粉粒には3つのスリット(発芽口)があり、スリットから伸び出した花粉管が柱頭の組織に入っていく。

アケビアケビ
アケビ(アケビ科)の胚珠と花粉管。花粉管の先端は、2枚の種皮に包まれた珠心に入り込む。

脊椎動物の受精でも同じような関係があり、受精が水中で行われる魚類に対し、体内受精を行う爬虫類・鳥類・哺乳類は水に束縛されない生活をしている(両生類には体外受精を行うものと体内受精を行うものとがある)。

裸子植物のイチョウとソテツは精子受精と花粉管受精を併用する例外的な植物で、短い花粉管から放出された精子が卵細胞に達するが、精子が移動するための水分は胚珠から分泌される。

ソテツソテツの胚珠の先端部に入り込んだ花粉は花粉管を伸ばし(左)、精子(右)を放出する
0-3-7. 裸子植物
ソテツ イチョウ
クロマツ上左: ソテツ
上右: イチョウ
左: クロマツ
下: マオウ

マオウ

現生の裸子植物は、3つの系統に分かれる。

  1. ソテツ類
  2. イチョウ
  3. 球果類+グネツム類
遺伝子から推定された裸子植物の系統関係
ソテツ類
イチョウ
マツ科以外の球果類
 
マツ科
グネツム類

マツ・スギ・ヒノキなど針葉樹林を構成する樹木を含む球果類が最大のグループだ。球果(種子錐)とは、マツボックリのように種子とそれを守る鱗状の葉が集まってついた器官のことを指す。ただし、イヌマキやイチイのようにマツボックリ状にはならない球果類もある。

スギスギ
スギ(球果類)。枝先に密生する長楕円形の花粉錐(雄花ということもある)から春先に大量の花粉を散らす。花粉は胚珠錐(枝先に集まった小さい灰色がかったふくらみ。雌花ということもある)の中の胚珠につき、花粉管を伸ばして受精する。下の方の大きな緑色のクリのイガのような塊は去年受粉した二年目の種子錐(スギボックリ)。

グネツム類は、グネツム(ツル状で、被子植物の葉によく似た葉をつける)・マオウ(緑色の細い茎が密生)・ウェルウィッチア(2枚の帯状の葉が地を這うように伸び続ける)の3つのグループからなる。植物全体のかたちが他の裸子植物と大きく違うため、独立したグループとして扱うことが多いが、系統的には球果類に含まれる。

イチョウイヌマキ
左―イチョウの種子(ギンナン)、右―イヌマキの種子。イチョウでは種皮の外層が、イヌマキでは種子の基部が、目立つ色をしてみずみずしい可食部となる。

3つのグループのそれぞれで、動物による種子散布が見られる。花粉を風で運ぶ(風媒)種が多いが、ソテツ類とグネツム類では昆虫による花粉の移動(虫媒)が見られる。

0-3-8. 被子植物の多様化と共進化
アケボノソウ
アケボノソウ(リンドウ科)の花。茎の先に、萼片×5・花弁×5・雄しべ×5・雌しべ×1(=心皮×2)が規則的に配列している。花弁は複雑な模様に彩られ、2つの蜜腺がついている。
ヤマザクラヤマザクラヤマザクラ
ヤマザクラヤマザクラ
ヤマザクラ(バラ科)の花から果実まで。受粉後に花弁、次いで雄しべ・花柱・萼が脱落し、残る子房が成長・成熟する。

被子植物は、以下のような独特の特徴を持つ。

  1. [flower]=茎の先端に雌しべ・雄しべ・花被片(花びら・萼片など)が一定の配列で密集した有性生殖器官をつくる
  2. 種子のもとになる胚珠[ovule]は、雌しべに内蔵されている。花粉は雌しべの先端の特定の部分(柱頭)に付着し、花粉管は雌しべの組織を通って胚珠に到達する
  3. 精細胞と卵細胞が受精するときに、もう1個の精細胞(1個の花粉粒は、2個の精細胞を持つ)も卵細胞の奥にある中央細胞と受精する(重複受精)
  4. 受精した胚珠が種子に変化するのと並行して、雌しべは種子を包む果実[fruit]へと変化する
  5. 導管を持つ
なりたちは大きく違うが、裸子植物の有性生殖器官も、被子植物と同じように「花」と呼ぶことがある

これらの特徴は、被子植物を他のグループからはっきりと区別し、さらに、被子植物が単系統群[monophyletic group](系統樹で、他の植物群から独立した1つの枝(部分系統樹)をつくるグループ)である疑いない証拠とされてきた。一方、あまりに独自性が高く、現生の裸子植物や他の化石種子植物とも特徴に大きな隔たりがあるために、裸子植物と分岐した後、現生の被子植物に進化した過程は、大きな謎となっている。

被子植物の現生のさまざまな種の系統関係や地理的分布の変遷は、DNAに基づく系統樹推定と植物化石研究の進展によって解明が進んでいる。現生被子植物の共通祖先は複数のグループに分岐したが、それらのうち、2つのグループが飛び抜けて繁栄し、種数でいうと被子植物の大多数を占めるようになった。

  1. 真正双子葉類: キク科・アブラナ科・バラ科・マメ科など
  2. 単子葉類: イネ科・ユリ科など

単子葉類の共通祖先では、単子葉性の胚・形成層のない維管束・平行脈を持つ葉などの一連の特徴が進化した(下図では▲で示す)ため、単子葉類は、他の被子植物と形態的にはっきりと区別できるグループとなった。そのため、系統関係が明らかになるまでは、単子葉類以外の被子植物を双子葉類と呼び、被子植物を単子葉類と双子葉類の2つに大別していたが、現在では、真正双子葉類と単子葉類に加えて同じくらい古く分岐した5~6のグループに分ける。そして、真正双子葉類と単子葉類以外を便宜的にまとめて、

  1. 基部被子植物
と呼ぶ。

                                アムボレラ科







    
スイレン科など
シキミ科など
センリョウ科
モクレン科など
マツモ科
単子葉類
真正双子葉類双子葉類
DNAから推定された現生被子植物の系統関係。
真正双子葉類が種の3/4以上を、単子葉類が2割以上を含む。

コケ・シダ・裸子植物の出現が3億年前以前にさかのぼるのに対して、被子植物の出現は飛び抜けて新しく、中生代白亜紀の1億3千万年前から1億年前にかけて急にさまざまな化石が現れ、中生代末~新生代初頭には裸子植物をしのぎ、地球上でもっとも繁栄している生物群の一つとなった。IUCN(国際自然保護連合)のまとめた統計によると、2020年の見積では、既知の生物種214万種(丸めた数字・以下同じ)のうち被子植物は17%(37万種)を占め、昆虫(105万種・49%)に次ぐ。コケ植物・シダ植物・裸子植物を合わせても3万4千種で被子植物の1割に満たない。

ゲノムの解析からは、裸子植物の祖先と被子植物の祖先の分岐はデボン紀後半~石炭紀前半、被子植物の多様化はジュラ紀中盤に始まって白亜紀前半に急速に進んだと推定されている。その間の2億年あまりの進化の過程は、まだ十分に分かっていない。
既知の生物種数(左)と割合(右): IUCN(2020)による
脊椎動物 無脊椎動物 陸上植物
哺乳類64950.3% 昆虫105357849% コケ
植物
219251.0% 地衣170000.80%
111470.52% 蛛形類1106155.2% シダ
植物
118000.55% 真菌1200005.6%
爬虫類111360.52% 甲殻類806043.8% 裸子
植物
11130.05% 藻類他231931.1%
両棲類81260.38% 軟体
動物
902134.2% 被子
植物
36900017%
354231.7% 1665717.8%
小計723273.4% 小計150158170% 小計40383819% 小計1609137.5%
合計2137939
小進化の積み重ねで大進化を説明する現代の進化理論の基礎をつくったダーウィン(C. Darwin)にとって、被子植物の急速な多様化の過程は未解明の謎の1つだった。ダーウィンは、植物学者フッカー(J. D. Hooker)宛ての書簡で、被子植物が短期間に急速に多様化したことを"an abominable mystery"「忌まわしき謎」と呼んだ。このことにちなんで、アメリカ植物学会誌の2009年1月号は、『種の起源』("On The Origin of Species")の出版(1859)から150周年を記念する「忌まわしき謎」特集号として出版された。

このような急速な多様化の要因は完全に解明されたわけではないが、昆虫・鳥類・哺乳類との共進化が大きな原動力の1つとなったと考えられている。

共進化の遺伝子レベルでの基盤として、ゲノムの重複が多様化の直前に起こり、生殖器官の発生を制御する遺伝子の多様化を可能にした、という仮説がある。
花と果実との関係模式図
被子植物における花から果実への移行の概念図

被子植物では、花で行なわれる送受粉と果実で行なわれる種子散布の両方が、多くの種類において動物との相利関係に依存している。

という2つの相利関係は、裸子植物ではごく限られたグループにしか見られないが、被子植物ではふつうに見られる。

送粉動物は花粉食者または花食者、糞や貯蔵食として種子を散布する動物は種子食者または果実食者でもある。送粉や種子散布における相利関係は、「食べる―食べられる」の関係から進化したという説が有力だ。

食べる 花粉食者・花食者 送粉者 相利共生
食べられる 風媒花 動物媒花

食べる 果実食者・種子食者 種子散布者 相利共生
食べられる 非動物散布種子 動物散布種子
ススキ ススキ
ススキ(イネ科)の花と花粉を集める小型のハナバチ。現在でも、風媒花でハチが花粉を集める行動はしばしば観察される。

風媒花でもしばしば花粉を食べたり集めたりする昆虫が観察される。訪花者[flower visitor]≠ポリネーター[pollinator]の例で、植物にとっては損害だ。ただし、風媒花―花粉食者の関係から動物媒花―ポリネーターの関係が起源したのではないか、という説がある。

生殖器官がコンパクトにまとまっていて、胚珠が保護されている被子植物の花では、進化の初期に、花食者(花粉食者を含む)から送粉者(ポリネーター)へ、風媒花から動物媒花への移行が起こった。「動物媒花と送粉者」という相利関係は、被子植物が動物(特に昆虫)の進化を促し、動物(特に昆虫)が被子植物の進化を促すことで、両者がからみあいながら多様化する共進化の出発点となった。

ヤツデヤツデ
蜜が露出するヤツデ(ウコギ科)の花は晩秋のハエにとって貴重な食糧源となる

ツツジ園芸種 ゲンゲ・セイヨウミツバチ
ツツジ園芸種(オオムラサキ)(ツツジ科)の花で吸蜜しているジャコウアゲハ(左)とゲンゲ(レンゲソウ)(マメ科)の花を訪れるセイヨウミツバチ(右)

同じように、種子が果皮に保護されている被子植物では、果実食・種子食という敵対的な関係の一部が「動物に食べられることによる種子散布」という相利関係に移行した。花の特徴をひもとくのに送粉者の好みや振る舞いの解明が欠かせないように、動物に散布される果実の特徴も散布動物の好みや振る舞いで説明できる部分が大きい。


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